P--689 P--690 Pc--691 #1浄土和讃   浄土和讃 #2冠頭讃 (1) 弥陀の名号となへつゝ  信心まことにうるひとは  憶念の心つねにして  仏恩報するおもひあり (2) 誓願不思議をうたかひて  御名を称する往生は  宮殿のうちに五百歳  むなしくすくとそときたまふ D-- #2讃弥陀偈讃 讃阿弥陀仏偈曰      曇鸞御造 南無阿弥陀仏      {釈名無量寿傍経奉讃亦曰安養} 成仏已来  歴十劫 寿命方将   無有量 法身光輪   &M010174;法界 照世盲冥 故頂礼 D-- [一]又号無量光[二]真実明 [三]又号無辺光[四]平等覚 [五]又号無礙光[六]難思議 [七]又号無対光[八]畢竟依 [九]又号光炎王[十]大応供 [十一]又号清浄光[十二]又号歓喜光 [十三]大安慰[十四]又号智慧光 [十五]又号不断光[十六]又号難思光 P--692 [十七]又号無称光[十八]号超日月光 [十九]無等等[二十]広大会 [廿一]大心海[廿二]無上尊 [廿三]平等力[廿四]大心力 [廿五]無称仏[廿六]婆伽婆 [廿七]講堂[廿八]清浄大摂受 [廿九]不可思議尊[卅]道場樹 [卅一]真無量[卅二]清浄楽 [卅三]本願功徳聚[卅四]清浄勲 [卅五]功徳蔵[卅六]無極尊 [卅七]南無不可思議光 [已上略抄也] 十住毘婆娑論曰 D-- 自在人{我礼} 清浄人{帰命} 無量徳{称讃} 已上 讃阿弥陀仏偈和讃        愚禿親鸞作 南無阿弥陀仏 (3) 弥陀成仏のこのかたは  いまに十劫をへたまへり  法身の光輪きはもなく  世の盲冥をてらすなり (4) 智慧の光明はかりなし  有量の諸相こと〜く  光暁かふらぬものはなし  真実明に帰命せよ D-- (5) 解脱の光輪きはもなし  光触かふるものはみな  有無をはなるとのへたまふ  平等覚に帰命せよ (6) 光雲無礙如虚空  一切の有礙にさはりなし  光沢かふらぬものそなき  難思議を帰命せよ (7) 清浄光明ならひなし  遇斯光のゆへなれは  一切の業繋ものそこりぬ  畢竟依を帰命せよ P--693 (8) 仏光照曜最第一  光炎王仏となつけたり  三塗の黒闇ひらくなり  大応供を帰命せよ (9) 道光明朗超絶せり  清浄光仏とまふすなり  ひとたひ光照かふるもの  業垢をのそき解脱をう (10) 慈光はるかにかふらしめ  ひかりのいたるところには  法喜をうとそのへたまふ  大安慰を帰命せよ D-- (11) 無明の闇を破するゆへ  智慧光仏となつけたり  一切諸仏三乗衆  ともに嘆誉したまへり (12) 光明てらしてたへされは  不断光仏となつけたり  聞光力のゆへなれは  心不断にて往生す (13) 仏光測量なきゆへに  難思光仏となつけたり  諸仏は往生嘆しつゝ  弥陀の功徳を称せしむ D-- (14) 神光の離相をとかされは  無称光仏となつけたり  因光成仏のひかりをは  諸仏の嘆するところなり (15) 光明月日に勝過して  超日月光となつけたり  釈迦嘆してなをつきす  無等等を帰命せよ (16) 弥陀初会の聖衆は  算数のおよふことそなき  浄土をねかはんひとはみな  広大会を帰命せよ P--694 (17) 安楽無量の大菩薩  一生補処にいたるなり  普賢の徳に帰してこそ  穢国にかならす化するなれ (18) 十方衆生のためにとて  如来の法蔵あつめてそ  本願弘誓に帰せしむる  大心海を帰命せよ (19) 観音勢至もろともに  慈光世界を照曜し  有縁を度してしはらくも  休息あることなかりけり D-- (20) 安楽浄土にいたるひと  五濁悪世にかへりては  釈迦牟尼仏のことくにて  利益衆生はきはもなし (21) 神力自在なることは  測量すへきことそなき  不思議の徳をあつめたり  無上尊を帰命せよ (22) 安楽声聞菩薩衆  人天智慧ほからかに  身相荘厳みなおなし  他方に順して名をつらぬ D-- (23) 顔容端政たくひなし  精微妙躯非人天  虚無之身無極体  平等力を帰命せよ (24) 安楽国をねかふひと  正定聚にこそ住すなれ  邪定不定聚くにゝなし  諸仏讃嘆したまへり (25) 十方諸有の衆生は  阿弥陀至徳の御名をきゝ  真実信心いたりなは  おほきに所聞を慶喜せん P--695 (26) 若不生者のちかひゆへ  信楽まことにときいたり  一念慶喜するひとは  往生かならすさたまりぬ (27) 安楽仏土の依正は  法蔵願力のなせるなり  天上天下にたくひなし  大心力を帰命せよ (28) 安楽国土の荘厳は  釈迦無礙のみことにて  とくともつきしとのへたまふ  無称仏を帰命せよ D-- (29) 已今当の往生は  この土の衆生のみならす  十方仏土よりきたる  無量無数不可計なり (30) 阿弥陀仏の御名をきゝ  歓喜讃仰せしむれは  功徳の宝を具足して  一念大利無上なり (31) たとひ大千世界に  みてらん火をもすきゆきて  仏の御名をきくひとは  なかく不退にかなふなり D-- (32) 神力無極の阿弥陀は  無量の諸仏ほめたまふ  東方恒沙の仏国より  無数の菩薩ゆきたまふ (33) 自余の九方の仏国も  菩薩の往覲みなおなし  釈迦牟尼如来偈をときて  無量の功徳をほめたまふ (34) 十方の無量菩薩衆  徳本うへんためにとて  恭敬をいたし歌嘆す  みなひと婆伽婆を帰命せよ P--696 (35) 七宝講堂道場樹  方便化身の浄土なり  十方来生きはもなし  講堂道場礼すへし (36) 妙土広大超数限  本願荘厳よりおこる  清浄大摂受に  稽首帰命せしむへし (37) 自利々他円満して  帰命方便巧荘厳  こゝろもことはもたへたれは  不可思議尊を帰命せよ D-- (38) 神力本願及満足  明了堅固究竟願  慈悲方便不思議なり  真無量を帰命せよ (39) 宝林宝樹微妙音  自然清和の伎楽にて  哀婉雅亮すくれたり  清浄楽を帰命せよ (40) 七宝樹林くにゝみつ  光耀たかひにかゝやけり  華菓枝葉またおなし  本願功徳聚を帰命せよ D-- (41) 清風宝樹をふくときは  いつゝの音声いたしつゝ  宮商和して自然なり  清浄勲を礼すへし (42) 一一のはなのなかよりは  三十六百千億の  光明てらしてほからかに  いたらぬところはさらになし (43) 一一のはなのなかよりは  三十六百千億の  仏身もひかりもひとしくて  相好金山のことくなり P--697 (44) 相好ことに百千の  ひかりを十方にはなちてそ  つねに妙法ときひろめ  衆生を仏道にいらしむる (45) 七宝の宝池いさきよく  八功徳水みちみてり  無漏の依果不思議なり  功徳蔵を帰命せよ (46) 三塗苦難なかくとち  但有自然快楽音  このゆへ安楽となつけたり  無極尊を帰命せよ D-- (47) 十方三世の無量慧  おなしく一如に乗してそ  二智円満道平等  摂化随縁不思議なり (48) 弥陀の浄土に帰しぬれは  すなはち諸仏に帰するなり  一心をもちて一仏を  ほむるは無礙人をほむるなり (49) 信心歓喜慶所聞  乃曁一念至心者  南無不可思議光仏  頭面に礼したてまつれ D-- (50) 仏慧功徳をほめしめて  十方の有縁にきかしめん  信心すてにえんひとは  つねに仏恩報すへし   已上四十八首{愚禿親鸞作} 阿弥陀如来 {観世音菩薩 大勢至菩薩} 釈迦牟尼如来 {富楼那尊者 大目&M020078;連 阿難尊者} 頻婆娑羅王 {韋提夫人 耆婆大臣 月光大臣} 提婆尊者 {阿闍世王 雨行大臣 守門者} P--698 #2大経讃 浄土和讃    愚禿親鸞作 大経意    二十二首 (51) 尊者阿難座よりたち  世尊の威光を瞻仰し  生希有心とおとろかし  未曾見とそあやしみし (52) 如来の光瑞希有にして  阿難はなはたこゝろよく  如是之義ととへりしに  出世の本意あらはせり D-- (53) 大寂定にいりたまひ  如来の光顔たへにして  阿難の恵見をみそなはし  問斯恵義とほめたまふ (54) 如来興世の本意には  本願真実ひらきてそ  難値難見とときたまひ  猶霊瑞華としめしける (55) 弥陀成仏のこのかたは  いまに十劫とときたれと  塵点久遠劫よりも  ひさしき仏とみへたまふ D-- (56) 南無不可思議光仏  饒王仏のみもとにて  十方浄土のなかよりそ  本願選択摂取する (57) 無礙光仏のひかりには  清浄歓喜智慧光  その徳不可思議にして  十方諸有を利益せり (58) [本願のこゝろ第十八の選択本願なり] 至心信楽欲生と  十方諸有をすゝめてそ  不思議の誓願あらはして  真実報土の因とする P--699 (59) 真実信心うるひとは  すなはち定聚のかすにいる  不退のくらゐにいりぬれは  かならす滅度にいたらしむ (60) [三十五の願のこゝろなり] 弥陀の大悲ふかけれは  仏智の不思議をあらはして  変成男子の願をたて  女人成仏ちかひたり (61) [十九の願のこゝろ諸行往生なり] 至心発願欲生と  十方衆生を方便し  衆善の仮門ひらきてそ  現其人前と願しける D-- (62) 臨終現前の願により  釈迦は諸善をこと〜く  観経一部にあらはして  定散諸機をすゝめけり (63) 諸善万行こと〜く  至心発願せるゆへに  往生浄土の方便の  善とならぬはなかりけり (64) [二十の願のこゝろなり 自力の念仏を願したまへり] 至心廻向欲生と  十方衆生を方便し  名号の真門ひらきてそ  不果遂者と願しける D-- (65) 果遂の願によりてこそ  釈迦は善本徳本を  弥陀経にあらはして  一乗の機をすゝめける (66) 定散自力の称名は  果遂のちかひに帰してこそ  おしへされとも自然に  真如の門に転入する (67) 安楽浄土をねかひつゝ  他力の信をえぬひとは  仏智不思議をうたかひて  辺地懈慢にとまるなり P--700 (68) 如来の興世にあひかたく  諸仏の経道きゝかたし  菩薩の勝法きくことも  無量劫にもまれらなり (69) 善知識にあふことも  おしふることもまたかたし  よくきくこともかたけれは  信することもなをかたし (70) 一代諸教の信よりも  弘願の信楽なをかたし  難中之難とときたまひ  無過此難とのへたまふ D-- (71) 念仏成仏これ真宗  万行諸善これ仮門  権実真仮をわかすして  自然の浄土をえそしらぬ (72) 聖道権仮の方便に  衆生ひさしくとゝまりて  諸有に流転の身とそなる  悲願の一乗帰命せよ     已上大経意 #2観経讃 観経意     九首 D-- (73) 恩徳広大釈迦如来  韋提夫人に勅してそ  光台現国のそのなかに  安楽世界をえらはしむ (74) 頻婆娑羅王勅せしめ  宿因その期をまたすして  仙人殺害のむくひには  七重のむろにとちられき (75) 阿闍世王は瞋怒して  我母是賊としめしてそ  無道に母を害せんと  つるきをぬきてむかひける P--701 (76) 耆婆月光ねんころに  是旃陀羅とはちしめて  不宜住此と奏してそ  闍王の逆心いさめける (77) 耆婆大臣おさへてそ  却行而退せしめつゝ  闍王つるきをすてしめて  韋提をみやに禁しける (78) 弥陀釈迦方便して  阿難目連富楼那韋提  達多闍王頻婆娑羅  耆婆月光行雨等 D-- (79) 大聖おの〜もろともに  凡愚底下のつみひとを  逆悪もらさぬ誓願に  方便引入せしめけり (80) 釈迦韋提方便して  浄土の機縁熟すれは  雨行大臣証として  闍王逆悪興せしむ (81) 定散諸機各別の  自力の三心ひるかへし  如来利他の信心に  通入せんとねかふへし D--    已上観経意 #2弥陀経讃 弥陀経意    五首 (82) 十方微塵世界の  念仏の衆生をみそなはし  摂取してすてされは  阿弥陀となつけたてまつる (83) 恒沙塵数の如来は  万行の少善きらひつゝ  名号不思議の信心を  ひとしくひとへにすゝめしむ P--702 (84) 十方恒沙の諸仏は  極難信ののりをとき  五濁悪世のためにとて  証誠護念せしめたり (85) 諸仏の護念証誠は  悲願成就のゆへなれは  金剛心をえんひとは  弥陀の大恩報すへし (86) 五濁悪時悪世界  濁悪邪見の衆生には  弥陀の名号あたへてそ  恒沙の諸仏すゝめたる D--    已上弥陀経意 #2諸経讃 諸経のこゝろによりて 弥陀和讃   九首 (87) 無明の大夜をあはれみて  法身の光輪きはもなく  無礙光仏としめしてそ  安養界に影現する (88) 久遠実成阿弥陀仏  五濁の凡愚をあはれみて  釈迦牟尼仏としめしてそ  迦耶城には応現する D-- (89) 百千倶胝の劫をへて  百千倶胝のしたをいたし  したこと無量のこゑをして  弥陀をほめんになをつきし (90) 大聖易往とときたまふ  浄土をうたかふ衆生をは  無眼人とそなつけたる  無耳人とそのへたまふ (91) 無上上は真解脱  真解脱は如来なり  真解脱にいたりてそ  無愛無疑とはあらはるゝ P--703 (92) 平等心をうるときを  一子地となつけたり  一子地は仏性なり  安養にいたりてさとるへし (93) 如来すなはち涅槃なり  涅槃を仏性となつけたり  凡地にしてはさとられす  安養にいたりて証すへし (94) 信心よろこふそのひとを  如来とひとしとときたまふ  大信心は仏性なり  仏性すなはち如来なり D-- (95) 衆生有礙のさとりにて  無礙の仏智をうたかへは  曾婆羅頻陀羅地獄にて  多劫衆苦にしつむなり    已上諸経意 #2現世利益讃 現世利益和讃    十五首 (96) 阿弥陀如来来化して  息災延命のためにとて  金光明の寿量品  ときおきたまへるみのりなり D-- (97) 山家の伝教大師は  国土人民をあはれみて  七難消滅の誦文には  南無阿弥陀仏をとなふへし (98) 一切の功徳にすくれたる  南無阿弥陀仏をとなふれは  三世の重障みななから  かならす転して軽微なり  (99) 南無阿弥陀仏をとなふれは  この世の利益きはもなし  流転輪廻のつみきへて  定業中夭のそこりぬ P--704 (100) 南無阿弥陀仏をとなふれは  梵王帝釈帰敬す  諸天善神こと〜く  よるひるつねにまもるなり (101) 南無阿弥陀仏をとなふれは  四天大王もろともに  よるひるつねにまもりつゝ  よろつの悪鬼をちかつけす (102) 南無阿弥陀仏をとなふれは  堅牢地祇は尊敬す  かけとかたちとのことくにて  よるひるつねにまもるなり D-- (103) 南無阿弥陀仏をとなふれは  難陀跋難大竜等  無量の竜神尊敬し  よるひるつねにまもるなり (104) 南無阿弥陀仏をとなふれは  炎魔法王尊敬す  五道の冥官みなともに  よるひるつねにまもるなり (105) 南無阿弥陀仏をとなふれは  他化天の大魔王  釈迦牟尼仏のみまへにて  まもらんとこそちかひしか D-- (106) 天神地祇はこと〜く  善鬼神となつけたり  これらの善神みなともに  念仏のひとをまもるなり (107) 願力不思議の信心は  大菩提心なりけれは  天地にみてる悪鬼神  みなこと〜くおそるなり (108) 南無阿弥陀仏をとなふれは  観音勢至はもろともに  恒沙塵数の菩薩と  かけのことくに身にそへり P--705 (109) 無礙光仏のひかりには  無数の阿弥陀まし〜て  化仏おの〜こと〜く  真実信心をまもるなり (110) 南無阿弥陀仏をとなふれは  十方無量の諸仏は  百重千重囲繞して  よろこひまもりたまふなり    已上現世利益 #2勢至讃 首楞厳経によりて大勢至 菩薩和讃したてまつる 八首 D-- (111) 勢至念仏円通して  五十二菩薩もろともに  すなはち座よりたゝしめて  仏足頂礼せしめつゝ (112) 教主世尊にまふさしむ  往昔恒河沙劫に  仏世にいてたまへりき  無量光とまふしけり (113) 十二の如来あひつきて  十二劫をへたまへり  最後の如来をなつけてそ  超日月光とまふしける D-- (114) 超日月光この身には  念仏三昧おしへしむ  十方の如来は衆生を  一子のことく憐念す (115) 子の母をおもふかことくにて  衆生仏を憶すれは  現前当来とをからす  如来を拝見うたかはす (116) 染香人のその身には  香気あるかことくなり  これをすなはちなつけてそ  香光荘厳とまふすなる P--706 (117) われもと因地にありしとき  念仏の心をもちてこそ  無生忍にはいりしかは  いまこの娑婆界にして (118) 念仏のひとを摂取して  浄土に帰せしむるなり  大勢至菩薩の  大恩ふかく報すへし    已上大勢至菩薩 源空聖人御本地也 D-- D--